2020.12.16
KOMBUCHA_SHIP(コンブチャ・シップ)が共感する企業に訪問してお話を伺う、インタビュー企画がスタートします!
第一回目は「酢酸菌」にフォーカス。今回のコラボレーション企業は、キユーピー株式会社(以下、キユーピー)です。
キユーピーと言えば「マヨネーズ」。五霞工場の一角に位置するキユーピー醸造株式会社(以下、キユーピー醸造)では原材料であるお酢を製造しています。実は、お酢もKOMBUCHAも、「酢酸菌」の発酵による商品です。
あまり聞きなれないかもしれませんが、酢酸菌は驚くべき魅力にあふれています。今回、その魅力を皆さまにお伝えすべく、キユーピー五霞工場に訪問しました。
キユーピー 研究開発本部 食創造研究所 ファインケミカル開発部の奥山洋平さん、キユーピー醸造 五霞工場長の谷脇悦生さんをはじめ、五霞工場の皆さまに工場見学のアテンド及びお酢とKOMBUCHA_SHIPの試飲にご協力いただきました。
今回KOMBUCHA_SHIPが伺ったのは、茨城県に位置するキユーピー五霞工場。その敷地面積は318,120㎡(東京ドーム6.8個分)、日本にあるキユーピー工場の中でいちばん大きな工場なのだそうです。敷地内にはマヨネーズの製造所、お酢の製造所などグループ会社が集まっています。川口の小さな醸造所であるKOMBUCHA_SHIP Brewery & Tap Roomと比べると、その規模の大きさに衝撃を受けました。
マヨネーズトップシェアのキユーピー。調理・調味料事業、フルーツソリューション事業、タマゴ事業など6つの事業をグループで展開しています。
グループ企業の一つであるキユーピー醸造では、マヨネーズの原料であるお酢、BtoB向けの醸造酢、調味加工酢などを製造しています。キユーピー醸造の年間生産量は約65,000キロリットル。
お酢とは、お酒を酢酸菌という微生物を使って発酵したものを指します。世界各地でお酒があるところにその土地のお酢があり、ヨーロッパではワインからワインビネガー、日本では日本酒、清酒から米酢というように、地域性がある調味料です。
実はお酢の歴史はとても古く、紀元前5000年頃には既に存在したと言われているとのことで、調味料としてもきわめて古い歴史を持っています。
日本では、4~5世紀に中国大陸からお酢の作り方が伝わり、伝統的な米酢、江戸時代には酒粕酢も作られるようになりました。その後、食の洋風化とともにアップルビネガー、ワインビネガーなどの洋風のお酢も作られるようになったとのことです。
お酢の醸造に欠かせないのが「酢酸菌」。KOMBUCHAとお酢はどちらも「酢酸発酵」しています。酢酸発酵とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
まず、酢酸菌とは「アルコールから酢酸を作る菌の総称」を指します。酢酸はお酢やKOMBUCHAに含まれる酸味のある成分です。
そして酢酸発酵とは、酢酸菌の働きでアルコールを酢酸に変えることを指します。
お酢の製造は、原料を仕込んでアルコール発酵を行ってアルコールを作るところから始まります。そのアルコールを使って酢酸発酵を行い、その後、熟成、調合、ろ過、殺菌して充填出荷という工程で行われます。この中のメインとなる工程が「酢酸発酵」です。
キユーピー醸造が採用している酢酸発酵の方法は二種類あり、一つが伝統的な製法の「静置発酵法」、もう一つが短期間で高酸度のお酢をつくることのできる「深部発酵法」です。
今回、静置発酵法の様子を実際に見学させていただきました。
静置発酵法では、発酵槽にもろみを入れ、もろみの表面に手作業で酢酸菌の膜を植え付けて発酵させます。植え付けられた酢酸菌は増殖に伴い、時間をかけて液の表面で発酵していきます。時間をかけて発酵を行うため、発酵由来の芳醇な香りのお酢ができるとのことです。
酢酸菌の膜の管理は365日行い、膜が厚くなりすぎないように取り除いたり、新しい発酵槽に植え継いだりしているそうです。
お酢と同じように、KOMBUCHAの製造工程でも酢酸菌の力でアルコールを酢酸に変える酢酸発酵を行います。しかし、発酵過程でできる膜は、ゲル状のつるつるとしたもので、お酢の発酵過程で生まれる酢酸菌の膜とは様子が異なります。
この違いが生まれる理由は、KOMBUCHAとお酢では酢酸菌の層が違うためです。お酢の酢酸菌の膜は、お酢づくりに特化した酢酸菌だけのものですが、KOMBUCHAの発酵に使用するSCOBYは酢酸菌・酵母・その他のバクテリアが混ざったものなので、膜の状態に違いが生まれます。
一口に「酢酸発酵」と言っても、お酢とKOMBUCHAでは発酵の様子が異なるようです。
工場見学の後は、キユーピー醸造のお酢を試飲させていただきました。
ご用意いただいたお酢は13種類。米酢、穀物酢、黒酢、りんご酢の他にも、アルコールだけから作ったホワイトビネガー、変わり種のレモンビネガーやトマトビネガーなど、一般では目にすることのないお酢もご用意いただきました。
キユーピー醸造の製造している醸造酢の製品はなんと約70種類。原料のかけ合わせや、発酵方法により、多様な味・香りのお酢が製造できるとそうです。それぞれ異なる風味や味わい、香り、色あいで、お酢の世界の奥深さに衝撃を受けました。
また、製品としては販売していない「にごり酢」も試飲させていただきました。にごり酢とは、ろ過をする前のお酢で、酢酸菌の菌体そのものが含まれています。
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