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キユーピーに潜入!酢酸菌に秘められた魅力とは?後編

2020.12.17

KOMBUCHA_SHIP(コンブチャ・シップ)が共感する企業に訪問してお話を伺う、インタビュー企画がスタート!
第一回目は「酢酸菌」にフォーカス。今回のコラボレーション企業は、キユーピー株式会社(以下、キユーピー)です。前編の工場見学に続き、酢酸菌の魅力と可能性についての対談をお届けします。

前編はこちら

インタビューに応えてくださったのは、キユーピー 研究開発本部 食創造研究所 ファインケミカル開発部の奥山洋平さん、キユーピー醸造 研究所 基礎研究部の松田賢司さんのお二人です。

――お二人はどのようなお仕事をされているのですか。

奥山:
私は酢酸菌の研究をしています。
主に酢酸菌の機能、いかに身体にいいかといったことを研究しています。

松田:
私は酢の製品開発と酢を作るための発酵技術の開発など、お酢に関わる全般の開発を担当しております。

――御社と言えばマヨネーズだと思いますが、その原材料であるお酢はいつから作り始めたのですか。

松田:
キユーピー醸造の創立は1962年です。お酢への取り組みはその前から始まっていましたが、当時は世の中に洋風酢というものがほとんどなかったんですよね。マヨネーズは洋風調味料なので、美味しいマヨネーズを作るためには洋風酢が必要です。「洋風酢がないのであれば自分たちで作ろう」ということで当社のお酢づくりが始まりました。

現在つくっているお酢は、原料もモルトやりんごなど様々です。キユーピー醸造では洋風酢に非常にこだわりをもってお酢づくりをしています。今では洋風酢だけではなく、すしに合う和風の酢も含めて、用途にあわせた酢を作っています。

お酢づくりのプロフェッショナルが語る、お酢の魅力とは

――お酢の魅力とはなんでしょうか。

松田:
お酢の一番の役割は、酸味を付与することです。酸味を加えて味を調える以外にも、お料理で使うと素材の香りを引き立ててくれたり、お酢そのものの発酵感のある香りが料理に深みやコクを付与してくれたりと、料理を美味しく仕上げるという点で様々な魅力を持っています。

また、減塩という点でもお酢がお役立ちできるかと思っています。
通常塩だけ抜いてしまうと味がぼやけて美味しくないのですが、お酢の酸味をアクセントに作ることで、美味しく減塩ができます。「減塩増酢(げんえんぞうす)」と呼んでいるのですが、そういったところにもお酢の魅力があるのかなと思っています。

――お酢自体の健康効果はどのようなことが期待できるのでしょうか。

松田:
一般的には血圧の低下作用、血糖値の上昇抑制、内臓脂肪抑制などがよく言われる作用です。これらは、お酢に含まれる酢酸による効果なんですよね。
ただ、健康効果ももちろん大事ですが、お酢は食品のため、毎日の食生活の中で美味しく摂り続けて、健康維持に役立てるという視点が大事かなと思っています。

――KOMBUCHAも同じですね。

酢酸菌は、アルコールを食べるタフな菌

――「酢酸菌」を一言で表すと、なんでしょうか。

奥山:
酢酸菌は、人の役に立てる貴重な微生物だと思っています。
地球上で食べられる菌というのは数が限られていて、何100億と微生物の種類がある中で、人が食べて、役に立てる菌は100種類もないんですよ。例えば乳酸菌もそうですし、酵母もそうですし、あとは、カビとかもそうですね。その何10種類の貴重な菌のうちの1個が酢酸菌です。

ここからは私の持論ですが、酢酸菌がすごいと思うのは、かなり過酷な条件でも生きられるところです。酢酸菌は、除菌に使われるアルコールを食べて(資化して)しまいます。

つまり、かなりたくましい奴だと言えますね(笑)

私たちの研究の始まりも「この菌を食べることで、もしかしたら人の身体に良いのではないのではないか」という考えからでした。研究を進める中で、二日酔いの防止や、肝臓へのダメージの軽減、花粉症への効果や、アレルギーの予防などの効果が分かってきて、やはりタフな菌を取り込むと人間の身体にも良いのではないかという仮説が実証できているところです。

――酢酸菌で、我々もタフになれるということですね。
御社では、酢酸菌の研究をいつ頃から始めたのでしょうか。

奥山:
弊社の酢酸菌の研究は、50年以上の歴史があります。健康機能に関しては最近の研究で、ここ10年ほど取り組んでいます。

松田:
私たちもそうですが、各社独自の酢酸菌があり、植え継いできているのです。よくお酒の世界では「蔵つき酵母」とか言われますよね。酒屋さんも独自の酵母を持っていますが、酢屋さんも同様に各社それぞれ、酢酸菌を大事に受け継いできているのです。なので、50年、60年という歴史の中で、酢酸菌も歴史を歩んでいるということですね。

――酢酸菌と歩みをともにしてきた会社なのですね。我々もそういうふうになっていけるといいなと思っています。

美味しいからこそ、続けられる

――酢酸菌入りのお酢である「にごり酢」の研究で、世界初の大量生産をされたと伺いました。
その研究の過程でどのような部分が難しかったのか、教えてください。

奥山:
にごり酢に関する研究は2つありまして、1つ目はにごり酢の酢酸菌だけを集めて試験を繰り返し、何に効くのか検証するという研究です。この研究は年数も必要なので大変でした。

2つ目が、高濃度培養の研究です。50年、60年とお酢と酢酸菌の研究を続けていますが、通常の発酵法で作る場合、お酢はあまり濁らないのです。これでは、いくら大量のお酢を作っても、酢酸菌を少量しか作れないので、どうしてもお客さんに手頃な価格で酢酸菌をご提供できない。そこで、高濃度培養の発酵技術を作ることに時間をかけました。
対象物にもよりますが、通常のお酢よりも約100倍の濃い酢酸菌が入ったお酢ができています。

――にごり酢の活用法はどういったものがあるのでしょうか。

奥山:
今はにごり酢の製造過程で作られた酢酸菌を使って、健康食品、サプリメントなどの商品を展開しています。にごり酢は美味しさもあります。美味しいからこそ続けられるという原点に戻り、おいしくて健康的なにごり酢というものを現在開発しているところです。

――「おいしくて健康」は大事なキーワードですよね。
KOMBUCHAもよく、海外の酸味の強いものを飲んだ方に、「ちょっと続けられないな」「健康に良さそうな味はするよね」などと言われてしまうことがあります。

「美味しくて健康」なものを作り、さらにはそれを日常的に取り入れやすい形で広めていくことで、酢酸菌やお酢、KOMBUCHAの世間的な見方が少しずつ変わっていくといいなと思っています。

酢酸菌の良さを、そのまま届けたい

――今後、お酢や酢酸菌の可能性はどのようにみられていますか。

奥山:
私は、お酢も酢酸菌も分けなくて良いと思っています。今はお酢業界というのがありますが、酢酸菌は「そもそもなんですか?」という状況なので、いまは酢酸菌に特化して、酢酸菌だけを培養した商品を展開しています。

本来、にごり酢は、世界中のどこでもつくることができると思っています。私たちキユーピーだけではなく、世界中の人が酢酸菌入りのお酢をつくることで、多くの方がお酢を美味しいと感じて、健康になっていただく。そういったことを実現したいと思っています。

日本ではどうしても流通する上で難しい部分はあるのですが、作り方や製品の加工の方法を工夫して、発酵の良いところを全部、元々いる状態で全部みなさんに届けられるといいなと思っています。

――発酵をまるごと、といった感じですね。

奥山:
そうですね。
「自然な発酵の良いものをそのまま取り込める、美味しくて健康なものを世の中に広めたい」という思いが、キユーピーとKOMBUCHA_SHIPの共通項であって、それで今回の対談があると思っています。

――酢酸菌やお酢を、今後日本でもっと身近なものにするために何ができるでしょうか。

奥山:
以前黒酢ブームがありましたよね。「お酢でもただのお酢ではない、黒酢がいいんだ」という世界です。今度は、「ただ健康なお酢ではなく、酢酸菌の入ったにごり酢がいいんだ」という世界を、作れるだろうなと思っています。
これからの時代は、免疫力を高められる菌活に関心が集まるので、にごり酢の名前を、黒酢のように広めて行く架け橋になろうと思います。

――にごり酢は、KOMBUCHAの発酵した状態とかなり香りや味わいが近いと感じました。我々も酢酸菌の効果が存分に発揮された「美味しくて健康な」KOMBUCHAを作っていきたいと思います。

酢酸菌とともに50年以上の歴史を歩まれている、私たちの大先輩であるキユーピー。
今回の工場見学と対談を通じ、よりよいKOMBUCHAを作っていく上でのヒントを沢山学ばせていただきました。
KOMBUCHA_SHIPも今まで以上に「美味しくて健康な」KOMBUCHAをつくり、多くの方に酢酸菌の魅力を伝えていけるよう努力していきます。

キユーピーの皆さま、今回は貴重な機会をありがとうございました!

 

 

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