2021.3.16
私たちはKombucha(コンブチャ)に関する共同研究を
高崎健康福祉大学の岡田先生と辻先生とともに
2020年10月から正式にスタートさせました。
KOMBUCHA_SHIPをより多くの皆様に飲んでいただく過程で
Kombucha(コンブチャ)のメカニズムの解明することは
とても重要な共同研究になります。
そこで、今回のコラムは
KOMBUCHA_SHIPリーダーの石橋がインタビュアーになり、
岡田先生と辻先生にお話を伺い、
「発酵の魅力」「微生物について」などをわかりやすくお伝えしていきます。
まずは先生のプロフィールをご紹介!
――今までどのような研究なさっていたのですか?――
高崎健康福祉大学 農学部 生物生産学科 岡田 早苗先生
大学の卒業論文で乳酸菌をテーマにしてから、
約45年間、乳酸菌を中心に研究をしてきました。
――日本の乳酸菌の発展とともに歩まれたってことですね。――
そうですね。私が研究をはじめた頃、乳酸菌の研究は作業的にとても大変で、
誰も研究に携わりたくない分野でした。
乳酸菌の分離が出来ない、同定(生物の分類上の所属や種名を決定すること)をするのに、
一年で三菌株を同定するのがやっとの時代。
当時は誰も扱おうとしない「乳酸菌」の研究に関して
分離方法を改善させるなど
一年で数百株、同定できるシステムを作り上げてきました。
――辻先生は、今までどのような研究なさっていたのですか?――
高崎健康福祉大学 農学部 生物生産学科 辻 聡 先生
私も乳酸菌の遺伝子を調べて、どのようなものが作れるかを研究しています。
例えば、お醤油や納豆等など醸造・発酵食品と呼ばれるものです。
発酵した食品の中にどのような機能性成分があり、
その食品をどのような微生物が作るのか、などの研究をしてきました。
――「発酵とは?」に関連し、質問です。発酵と腐敗の違いとは何ですか?――
「発酵」「腐敗」も微生物の影響で食品の性質が変わることを指します。
例えば、発酵は「美味しくなる」「成分が溶けて柔らかくなる」などの作用があります。
また、腐った食べ物の「柔らかくなる」「味が変化する」は発酵と似た作用で起こります。
違いが出る原因として「発酵」では目的の食品を作るために微生物を制御しています。
例えば、牛乳に乳酸菌を入れてヨーグルトを作るように
特定の食材に特定の微生物が関わります。
微生物を制御することで発酵食品が作れます。
腐敗した食品は、微生物を制御しません。
何か分からない微生物が増えてしまうことで
人にとって食べられないものが出来上がる時は、「腐敗」と言います。
また、文化的に「食べられたことがあるのか」でも判断方法が変化します。
私は納豆の研究をしていますが、海外に納豆を持っていくと、
海外の方から「これは腐っている」と言われることがあります。
日本でもブルーチーズなど苦手な方は「これは腐っている」と言います。
文化的にも「発酵」を判断す方法の違いはありますが、
基本的には微生物を制御して、目的の食品が作れていれば「発酵」。
微生物を制御できず、目的の食品になっていない(食べられないと判断)状態は
「腐敗」となります。
45年間、乳酸菌を研究してきました。
乳酸菌だけではありませんが、菌を知るにはその周辺にいる
微生物を知る必要があります。
そこで分かったことは
1)人間の都合
2)微生物の都合
で考えることです。
人間の都合でいうと「発酵」と「腐敗」の観点になります。
微生物の観点に立つと、どちらも一生懸命に自分たちの命を保とうとする
過程なのです。
微生物が生えた場所によって、
人間が美味しいと思えば「発酵」、
人間が食べてマズいと思えば「腐敗」になります。
おおかた「腐敗」したものを人間が食べてもお腹を壊しません。
ただ人間が嫌うというだけ。
つまり、「発酵」と「腐敗」は人間の都合で決まるということです!
国や文化によっても「発酵」もしくは「腐敗」になるのか
判断が変わりますよね。
ちなみにお腹を壊し、食中毒になるケースは、
見かけで腐敗していなくても、美味しい状態でも
それを食べて人間は食中毒を起こすことがあります。
食中毒に関する菌の汚染は「発酵」「腐敗」と別で考えてください。
まとめとして、
微生物が一生懸命、生きている証である
「発酵」と「腐敗」の違いは人間の都合がかなり関わってきます。
健大の岡田先生と辻先生にお話を伺うコラムインタビュー。
「知らなかった!発酵の世界」、
第1回は「発酵と腐敗について」お届けしました!
次回コラム、
健大の岡田先生、辻先生に聞いた「知らなかった!発酵の世界」、
「発酵と熟成について教えて先生!!」に続く
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